garuboru2006-10-01

<映画>
a)LOFT(黒沢清)★★★
b)パビリオン山椒魚冨永昌敬)★★★
c)マッチポイント(ウディ・アレン)★★★★

充実の新作三本。いやどれも素晴らしかった。本当は『ゆれる』と『マイアミ・バイス』も見たかったんだけど、朝起きれなかったり、『マッチポイント』が満席で入れなかったりと予想通りのことが起こって、三本だけのファーストデイ。俺は恵比寿ガーデンプレイスが日本一儲かってる映画館だと思うのだけどどうなんだろ。いついっても満席で夜の回にまわされてる気がする。『カポーティ』も満席になってたし。いやーそれにしても『マッチポイント』最高。今まで見たウディ・アレンでは一番好きな大傑作。


今日あらためて実感したのは「映画はお引っ越しからはじまる」てこと。引っ越しってのはそれまでのことを全て変えて、主人公を新たな環境に置き、そうすると当然新たな出会いが起こり、出会いが映画を作り出す。だから冒頭に引っ越しがある映画がひたすら多い気がする。はじめて意識したのは『描くべきか、愛を交わすべきか』で、それから意識的に見るようにしていたら多い。主人公がある目的を持って、もしくは強制されて、引っ越しを決め、新居を探し、不動産屋と軽い冗談を交わしながら、結局「ここに目をつけるとはお目が高い」やら「チャンスですよ」みたいな言葉で引っ越しを決める。そう、どの映画も引っ越しなんて行為自体は、その言葉程度の重要性しかないはずなのだ。しかしどうだ。引っ越しが引き起こすその後の2時間のドラマは。今日の『LOFT』と『マッチポイント』も冒頭に引っ越しから映画は始まったし、『パビリオン山椒魚』でも映画の重要な(?あれを重要だと言っていいかわからないところがこの映画の良さなんですよね)転換部分で引っ越しがある。これが引っ越しの重要性である。引っ越しの映画学。なんやらごちゃごちゃ書いたけど個人的に引っ越しのシーンが大好きなわけで。まあそれだけです。ちなみに今までで一番好きな引っ越しのシーンはマルコ・ベロッキオの『夜よ、こんにちは』。新居に初めて訪れ窓を開けたところから、その夜の花火のシーンまでの流れは永遠に忘れられそうにない大好きなシーン。それにしても引っ越しをきっかけでなくテーマに一本撮ってしまった相米さんは凄いですね。