garuboru2006-09-30

<映画>

a)愛は死より冷酷(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)★★★★
b)都会の放浪者(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)★★
c)小カオス(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)★★
d)Metro Lumiere(ハロルド・マニング)★★

a)一匹狼で組織に入ることを拒む男フランツ。フランツを組織に入れるため組織内から派遣された美男子ブルーノ。そのことを知らないフランツはしかし、ブルーノとの間に友情に似たものを感じ始める。そこにフランツの女であるヨアンナが加わり、三人は特別で不思議な関係を築く。関係というよりはもはや、世界。三人は彼らの間だけで築かれた世界に生きる。その世界はお互いへの愛情で成り立つ。フランツはブルーノに自分の女であるヨアンナをも共有しようという姿勢が見れる。また後期のファスビンダー作品で次第に特徴として現れる性的倒錯ももはや見て取れる。フランツは明らかにブルーノに愛情を抱いている。この三人が最も望まないことはこの世界を崩されることである。その証拠に、彼らの世界を崩す可能性のある登場人物は全員射殺される(殺人現場に偶然出くわしてしまった喫茶店で働く女でさえも。)だがこの危ういバランスで成り立っていた世界の終焉は始まりと同じく簡単に訪れる。お互いの愛情で成り立っていたこの小さな世界を壊すのは外部ではなく内部、愛情が終わるとき。ラストシーン、ブルーノの死体を道路に捨てたフランツがヨアンナに向けて「淫売」と一言。結局最後までブルーノとヨアンナに愛情を抱き続けたのはフランツひとり。何も知らないことは不幸なことではなく、最も幸せなことなのだろう。いや、しかし二人を乗せた車の先に幸福が待ってるようには思えないのでやっぱり不幸なのであろうか。



久々に映画を見ようと思って、リハビリ気分で選んでしまったのがファスビンダーの『愛は死より冷酷』。完全にチョイスミス。見ているともうむちゃくちゃよくて、ああやっぱ映画見なきゃだめだなあとか思ってたけど、ラストの10分間で涙が止まらなくなってしまって、図書館で恥ずかしい思いをする。せきとめるようにせきとめるように。あと『百年恋歌』の予告編を見ただけで鳥肌がぐわーってきて、またもの凄い泣けてきて、もうぼろぼろ。映画しばらく(というか1ヶ月半近く!?俺史上初だ!)見ないとこんなに弱くなるんだなあと実感。これから復活します。

せっかくむちゃくちゃ悩んで決意したのに、あまりにみんなが優しくて、優しくされると冷たく突き放されるより全然つらいことを知った。もうだめだ。今日は泣いてばっかです。