死に場所は、ここだ!

久々の更新。まさか、と思う方もいるかもしれません。
自分でも旅中放置しておいたのでこのブログをどうしようかな、と持て余していた、というのが本音でしょうか。突然プライベートモードにして私的日記にしてやろうとも考えましたが、気付けばこの『ヌーヴェル以前』をアンテナに登録してくれている方も50を数え、そんな勝手も許されないかな、と思い迷っておりました。
自分の中でも、旅が終わって(9月27日に帰国しました)色々思うことがあったり、内定式とか、あとゴダールに今更目覚めたり(笑)自分の人生において大きな転換期をいくつか迎えており、何か変わらなきゃなあみたいな自覚はありました。
また更新が止まっていた、僕がこのはてなを始める直接のきっかけとなった、しょーくんのブログが違う場所で復活したことを知り、僕も違う形でもう一回やり直してみようかな、という意識を強く持つようになりました。
そんなことを考えているときに、この映画と出会ったのです。ほんとうに今さっきの話ですが。


デス・プルーフ in グラインドハウス』(クエンティン・タランティーノ


そして今ありえない興奮と共にこの文章を書いています。落ち着いてるように見えるかもしれないですが、全く落ち着いてません。映画が終わってから約2時間半がたった今でも心臓がバクバクしてます。この最強の映画に触れて、今までの映画への感情だとか、なんか色々崩壊しました。死に場所を探していた僕は、そして『ヌーヴェル以前』は、この映画の前に一度死を迎えました。死に場所はここだ、と確信し、安らかに消え去ります。もちろんすぐに復活します。卒業が決まって暇なので本当にすぐに(今日とか)復活する予定ですので、このブログを好意的に読んでくれていた方、ご安心下さい(笑)次のブログではakなんとかさんみたいに素敵なブログにしたいと思っております。良かったらまたアンテナに入れてやって下さい。またどこに移ったかはここで報告しますね。

最後にけじめとして、この『ヌーヴェル以前』は『デス・プルーフ』の最後のように「THE END」ということで!!!ありがとうございました!!!(拍手)

ピース!!

ナイトライフには飽き飽きだぜと思っていたので、じゃあ何をするかといえば、観光!とは僕の場合はならないのだけれども、友人がワットポーに行くというのでついてく。祝、タイ来て初観光!
ワットポー自体は当然のごとく微妙で、別にそうかー何にもないなあ、ああ中東の遺跡を巡りたいなあまた、とばかり考えていたのだけれど、外に出ると、大学生の新聞部みたいな子たちに色々インタビューされて、それはどう考えても楽しくて、ああたまには観光もありだね、と思い直すのだ。
一緒にワットポーにいった青砥さんという人の生き方にひどく惚れる。職業を聞くとニュージーランドでファーマー。くそかっこいい。そんな生き方。こうゆう人に出会えるから旅は楽しい。

「体に気をつけてね」青砥さんは別れるときに何度もそう繰り返す。ちょっと泣けてくる。旅ではじめて言われたな、その言葉。人の良さが伝わってくる。こんなふうになりたい。


友人が空港からのバスで仲良くなったオージーガールと会う約束をしてるというので、それに着いてくがオージー現れず。仕方がないので宿に戻ると、めっちゃ若いオーラが。早稲田の二年生3人組カイト、ショータ、ショーだ。馬鹿みたいに明るくて楽しい、楽しい。
みんなでビールいっぱい飲んで、わいわいやってたら、バンコク最高っすね、はまりそうです、なんてカイトが言うものだから、「馬鹿バンコクの夜を知らなかったらバンコクを何も知らないのと一緒だよ」と去年のコウタさんの受け売りを吐くといつの間にか師匠みたいになる。どうしようもない。
オーストラリアから上がってきたピースさんと宿の主のジャックさんが若者のためにゴーゴーツアーを企画するというので、行かざるをえなくなる。もうナイトライフなんてこりごりだと思ったのに。
でもピースさんが持ってたタバコをみんなで回せばわりとそれだけでハッピーで、やばいねこれは今夜散財するね、とみんなで笑って、「ピース!!」って叫んで、ショータはこほこほむせておかしくて笑う。


タクシーでナナプラザへ。こんな大人数でゴーゴーなんて初めてだわ、と遠足気分でハイになりながら。でも一軒目でショーが初めてなのに暴走して、ピースさんが反省会を開いて説教し、二軒目へ。
カイトは僕の隣で、キップちゃんという、モデル級にかわいい女性にデレデレしまくっている。
「大地さん、僕やっぱり無理です」というカイトの言葉で彼を残し、「カイト、グッドラック」と全員でハイタッチをし残りのメンバーはナナを出る。次はソイカウボーイという地区に行ったのだけれど、僕と友人は少し疲れてしまったので外で待ってることにする。少し覗くと全身裸で踊ってたのでたいそう驚く。
そのあとテイメイカフェへ。ここでは旅の大ベテランのジャックさんが大活躍。タイ語ぺらぺらなのでモテモテ。聞くと、国籍の違う3人の子供がいるらしい。そりゃすごいわけだわ。
誰も買う気はないので、タイ系美女を一緒にご飯に誘うと「タベルノハゴハンダケ?」と。う、うん、ごめんね。と謝りながらラーメン食いに行く。ラーメン食べてた女の子と一緒に食べてたら、そこで偶然会ったナツさんが「あ、テイメイいたよね?」というので、あ、テイメイいたのか、と聞くと、彼女は一瞬うなずいて、ノーノーというので、ゴーホーゴーホー、どっちがゴーホーといって笑う。やばいハッピーすぎる夜だ。
宿に戻ると、カイトはすでに帰っていて、いろいろと話を聞く。カイトが「僕はしてはいけないことをしてしまった」と言うもので、何を何をと聞くと、みんながそんなバカなと笑い、カイトは安心して、僕、本気でキップちゃん、というもので、わわ、懐かしい、去年のNokを思い出すね、と言いながら、みんなで叫ぶ。絶対楽しくなる魔法の言葉。

そう、合言葉は、ピース!!

She Again

たとえば、ある人がここに存在していたという徴は、いくつものところに残っているし、そのひとつひとつが、「僕がここにいた」と誰かに記憶しておいてもらえた跡ならば、やはりこれほど幸せなことは無いのだろう。


語る、語られる。


そうされることでこのように気持ちよく街を歩けるのならば、僕は語ることを決して辞めるつもりは無い。それはジョーイが僕のことを「I always remember you 」と言ってくれることはもちろんそうであるし、そのことを言わずとも、今朝、ちょっと早起きしたまだ人気もまばらなカオサンで起きた出来事もそうなのだろう。


昨年の夏、毎日のように通りかかって「おはよ」「いってきます」「ただいま」という挨拶だけの関係を続けたイスラエル料理屋の女性たちが、1年ぶりに帰ってきた僕のことを覚えていて、「帰ってきたのね!」と言ってくれたことに、僕はひどく感動してしまったのだ。
彼女たちは、まるであの夏の日の続きのように、何も変わらず「カワイイ」とひどく挑戦的なニックネームで僕を呼びかけ、僕はそれに対して、ありがとう、と言って通り過ぎるのだ。そこには時間の流れだとか、何も関係ない。


僕は確かにカオサンにいたのだ。
そして、またここに帰ってきたのだ。
ただ、それだけのことだ。


通り過ぎるだけだったその店ではじめてサンドイッチを食べてみる。シュワルマ。懐かしい、中東旅してるときの味だ。


ジョーイと、KAEと長い間メッセを続ける。ジョーイから今日会える、とメッセをもらう。あまりにも嬉しくて、そんな自分の気持ちに驚く。
タクシーに乗り込みKAEの職場に向かう。そのまま地下鉄で、Central Ladpowというデパートに向かい、30分ほどぶらぶら。そこにジョーイがあらわれる。


一瞬、まるで時が止まる。そこにジョーイがいるのだ。1年間も会うことのできなかった彼女は、前よりもはるかに美しくなっていて驚く。ジョーイ久しぶりだね、と。それしか言えない。言おうと考えていたことは、全部頭のどこかに消えてしまった。ただこうしてまた会えたことがこんなにも嬉しい。

そのままジョーイの案内でサバーイな雰囲気のダイニングバーへ。ジョーイとKAEがめちゃくちゃいっぱい頼み、テーブルは一瞬で埋め尽くされる。そこにジョーイの友達というフィアという男が現れる。

フィアが現れて、一瞬まじで焦る。こいつがまた曲者と言うか、とにかくイケメンで面白くていかにもモテそうな奴。ま、まさか、ジョーイに「私の彼氏」とでも紹介されるのではあるまいか、と。てゆうか結婚しててもおかしくない年齢だしな。本気でどきどきしながら接する。

てか他の男の登場でこんなけ動揺するなんて、、完全に恋しちゃってるじゃん俺。でも様子見てる限り、ほんとにただの友達のようでまじ安心する。そうなるとフィアがめちゃくちゃいい奴で大好きになってしまう。
ビールの飲めないKAEを除いた3人で、でかいビール樽みたいな10リットル入りのやつを空ける。まじで泥酔直前。てかジョーイ、去年はぜんぜん飲めなかったよね、と聞くと、ジョッキ片手に首を横に振る。あれれ?
フィアは僕にコホリって知ってるか、という。僕が知らない、と答えると、第二次世界大戦中に、タイ人女性に恋をした日本人のことだよ、と説明してくれる。じゃあ同じだ、というと一同爆笑。あはは、やばい楽しすぎる。

そのときビーからジョーイに電話がかかってくる。いま僕も一緒にいる、ということを伝えるとビーはひどく驚き、今日私たちが出会ったクラブにいくから、大地も来て、と誘われる。わ、それ嬉しい。が、ジョーイには焼餅やかれる。ごめん、かわいすぎ。

最後に別れる前、ジョーイをきつく抱きしめる。ほんとにまたこうして会えてよかった。二度と会えなくてもおかしくなかった人が、いま僕の腕の中にいる。
タクシーの中、ずっと彼女のことを考えながら。
いったん宿に戻り、同じ時期に偶然旅する、と言っていた友人が来たのを確認し、クラブへ向かう。一周回ると、懐かしい顔。ビーだ!ハグをし再開を喜ぶ。ビーの友達の「イクイクイク」が口癖のエロタイ人、レッグとも仲良くなる。そのまま場所を移して飲み続ける。カオサンの夜は終わらない。

人生の縮図

ヨシは突然、今日チェンマイに行くことを決めたと言う。関西人のあんちゃんも、仕事でタイに来てる日本人女性の高級ホテルへ転がり込むらしい。


こうしてみんなここを通り過ぎていく。
日本人宿とは、そういう場所だ。出会いを、別れを繰り返すのだ。
観光というものは僕にとって、だからどうでもいいものになってしまう。
本を読めば、映画を見れば、本来生きることの出来ない世界を、他の人の人生をおくることができるのと同じだ。何も変わらない。
人生は大きく言えば、出会いと別れだ。僕はここにいるだけで、その過程をハイスピードで享受できる。旅は人生の縮図だ。たった2ヶ月かそこらで、何年分もの出会いを得ることが出来るから、だから僕はまたバックパックを背負うのだ。


そして別れはまた、新たな出会いを作り出す。
こうじさんとタカトさんというふたりの旅のベテラン、というより夜のベテランの人たちがドミにやってきた。どうやら今夜も、というよりこうじさんに限っては毎晩、らしいが、夜の街に繰り出すらしい。

「なぜ女性がついてこないのかわからない」、という彼の強気の発言。心強いが、若干うざい笑
もう52才だそうで、たいそうな人生の(駄目な)先輩なのだが。

そしてパッポンへ繰り出すと言うので、タカトさんに続き、2番弟子として、ご一緒させていただくことに。いままでゴーゴー技は完全なる独学だったのだがタクシー内で基礎編のレッスンを受け、いざパッポンへ。
店を何件か覗き、席に着く。実践編の講座を受けようと思ったら、もうこうじさんは自称ナンバーワンの子をなんちゃらしていて、講師をする気は無いようだ。僕も隣に座らせ、適当に話す。ていると、そのテクニック、やるじゃないか、大地君、と師匠からもはや免許皆伝をいただく。アホか。タカトさんからはゴーゴー上級者の異名も。アホすぎる。

そのあとタカトさんはパッポンでギターを弾いている友人のバーに行くと言うので、こうじさんに連れられてタニヤ通りへ。うらぶれた日本人向けのナイトスポットらしい。何件か覗くと凄い光景が。
でも疲れる。
おじさまの欲についていけません。とアイス食って帰路に着いた。

もうナイトライフはしばらくいいです。

季節の記録、旅の記憶

約束どおり帰ってきたぜ、タイ。


見たこともない新しい空港で一泊し、早朝エアポートバスでカオサンへ向かう。運転手が低い声でカオサンとつぶやく。その声に反応し、アイマスクをはずし窓から外を眺めると、見慣れた光景が広がる。一番にバスを飛び出る。


ああ、カオサンだ。一気に体の中を記憶が駆け上る。体が震え、立っていられなくなり、そこにぺたりと座り込む。思いが内部だけじゃ抑えきれず、涙となって、外に出てくる。
しばらく泣いて、昨年プチ沈没していたトラベラースロッジという日本人宿に向かう。宿はまだ開いてなかったので、そのままネットカフェへ。もちろん理由はひとつ。


ジョーイに会いたい。
まだジョーイにはここに来ることを伝えていない。いまカオサンにいること、そしてもう1度会いたい、ということを伝えるメールを送る。僕は、ジョーイに会いに、ここまで来たんだ。躊躇なんて、ない。

宿に向かいエアコンドミにチェックインする。下に降りると、食堂で怪しい男に声をかけられる。日本語を学んでいると言うその男、ナラップとしばらく話していると、そこにさっき着いたというヨシも合流して、3人で昼飯を食いに行くことにする。1年ぶりのパッタイ、まじうまい!

「アナタウチクル。カンチャナブリ。タベモノタダ、ノミモノタダ、オサケワリカン。ワタシティーチャー。マイペンライ」が口癖の、ナラップを適当にかわし、ヨシといろいろ話す。どうやら今夜は、タイ人の友達と会うらしい。

彼らと別れ、宿に戻り、空港で寝れなかった分を取り戻すために泥のように眠る。起きるとすっかり外は暗くなっている。関西人のあんちゃんがボディソープを買いに行くと言うので連れ出してもらい飯を食う。
宿に戻ると、ヨシがちょうど戻ってきて、いまから友達と踊りに行くから、おいでよ、と誘ってくれる。お誘いは断らないこと、が信条なので、喜んでご一緒させていただく。
カオサンにありながら、タイポップがかかりまくるクラブで、日本人みたいな名前のYUKOと、YUKOの友達で中国人みたいな名前のLEEと踊る。タイ人謎の曲ではしゃぎすぎっつう。しばらく楽しみ、YUKOたちが帰るというので、僕らも帰ることに。
しかし帰るといっていた、ヨシは突然タクシーに乗り出し、やっぱりゴーゴー行こうぜ、と。あははは。だから誘いは断らない人間だっつの。
ナナプラザというゴーゴーが連なる、パッポンと並ぶナイトスポットの超有名店レインボーへ。あの雰囲気、相変わらず、すごい。圧倒。ヨシが暴走する。つか札幌人ほんとみんなどうしようもない。いや先輩ですが。
ゴーゴーで女の子におごらない程度に遊び、早めに出る。そしてそのまま援交カフェと噂のテイメイカフェへ。お酒を頼み、適当に一周する。かわいい子意外と多い。適当にJAという女の子をいじって遊んでいると、とんとんと肩を叩かれる。振り向くと、ヨシがふたりの子の肩を抱き、衝撃発言。


「じゃ俺、この子達と3Pしてくるから」


そう言い残し去っていく、ヨシ。アウェーな場所にひとり残された俺。どうする、どうするの俺!?

謝謝

僕なんてのはほんと大したことない人間だし、ずいぶんと流されやすいので、多くの人の話とか、メディアとかで「中国人は」なんて聞き、ああそうか中国人はそうなのか、と思い込んでいた。しかし、そんなのものはほんと無駄なステレオタイプにすぎないようだ。

僕は中国からいまにも離陸しようとしている飛行機の中で、中国で出会った人々や様々な出来事について思いを馳せる。

10億を超える中国人全体からしてみれば、僕の3日間で関わった人々なんて、ほんとに一握りで、ゼロに等しいくらいだろう。
でもそいつらはたった一人の例外もなく全員がいいやつで、みんなが「中国人は」と多少なりともの悪意を持って語られる幻想上の彼らとは違い、誰一人僕のことを騙そうなんてしなかった。


でも正直、こうして飛行機に乗るまでは毎日が怖かった。

それは、僕のこの嬉しい驚きと発見が、これから飛行機を乗るまでに出会う、たったひとりの中国人の悪意によって裏切られてしまうのでは、という恐怖だ。僕の出会った人々の優しさや笑顔が、たったひとつの悪意で、「やっぱり中国は」となるのが怖かったのだ。

だから僕はひどく安心して、ここに座っていられる。ちょっと座席は狭苦しいが、こんなにも穏やかな気持ちだ。
飛行機が加速する。空に飛び立つ。僕は横目で窓から外を眺める。隣の中国人の女の子二人組は、ちらちらと僕のほうを眺め、何読んでるの?だとかオレンジジュースでいい?とか聞いてきてくれる。僕はただ笑って頷くだけだ。

結局、中国の3日間は、万里の長城故宮も行くこともなく終わってしまった。最終日の今日は、世界遺産ではなく世界公園に行くことを選んだ。全く後悔はない。世界公園で出会った多くの人々が僕を笑わせたのだから。それに、こんなにも近くて近い国だ。またすぐに来るのだろう。万里の長城はそのときでいいや。
受付の女性、何小と、また中国にきたらここに来るね、と約束し、固く握手をした。万里の長城に行かなかったから、時間がけっこう余り、宿を出る前にふたりで1時間ほど話す。筆談ができるから他の国よりも心が通じやすい。
ガイドとして持ってきたブルータスをあげる。ハングル?と聞かれる。どうやら僕のことを韓国人だと思っていたらしい。僕は大地というんだ。と書くと、ダーティーと笑われる。どうやら中国での僕の名前はダーティーらしい。よかった日本に生まれて。

そうして中国での出来事を思い返していると、飛行機はすぐに着陸態勢に入る。シートベルト着用のサインが消えるとわーっとみんなが一斉に駆け出す。中国人はえー。と笑いながら最後までシートに座っている。
人影もまばらになり、ゆっくりと席を立つ。最後にキャビンアテンダントに、いつもよりちょっと大きな声で僕はこう言う。「謝謝」と。

さあ、次はタイだ!