季節の記録、旅の記憶

約束どおり帰ってきたぜ、タイ。


見たこともない新しい空港で一泊し、早朝エアポートバスでカオサンへ向かう。運転手が低い声でカオサンとつぶやく。その声に反応し、アイマスクをはずし窓から外を眺めると、見慣れた光景が広がる。一番にバスを飛び出る。


ああ、カオサンだ。一気に体の中を記憶が駆け上る。体が震え、立っていられなくなり、そこにぺたりと座り込む。思いが内部だけじゃ抑えきれず、涙となって、外に出てくる。
しばらく泣いて、昨年プチ沈没していたトラベラースロッジという日本人宿に向かう。宿はまだ開いてなかったので、そのままネットカフェへ。もちろん理由はひとつ。


ジョーイに会いたい。
まだジョーイにはここに来ることを伝えていない。いまカオサンにいること、そしてもう1度会いたい、ということを伝えるメールを送る。僕は、ジョーイに会いに、ここまで来たんだ。躊躇なんて、ない。

宿に向かいエアコンドミにチェックインする。下に降りると、食堂で怪しい男に声をかけられる。日本語を学んでいると言うその男、ナラップとしばらく話していると、そこにさっき着いたというヨシも合流して、3人で昼飯を食いに行くことにする。1年ぶりのパッタイ、まじうまい!

「アナタウチクル。カンチャナブリ。タベモノタダ、ノミモノタダ、オサケワリカン。ワタシティーチャー。マイペンライ」が口癖の、ナラップを適当にかわし、ヨシといろいろ話す。どうやら今夜は、タイ人の友達と会うらしい。

彼らと別れ、宿に戻り、空港で寝れなかった分を取り戻すために泥のように眠る。起きるとすっかり外は暗くなっている。関西人のあんちゃんがボディソープを買いに行くと言うので連れ出してもらい飯を食う。
宿に戻ると、ヨシがちょうど戻ってきて、いまから友達と踊りに行くから、おいでよ、と誘ってくれる。お誘いは断らないこと、が信条なので、喜んでご一緒させていただく。
カオサンにありながら、タイポップがかかりまくるクラブで、日本人みたいな名前のYUKOと、YUKOの友達で中国人みたいな名前のLEEと踊る。タイ人謎の曲ではしゃぎすぎっつう。しばらく楽しみ、YUKOたちが帰るというので、僕らも帰ることに。
しかし帰るといっていた、ヨシは突然タクシーに乗り出し、やっぱりゴーゴー行こうぜ、と。あははは。だから誘いは断らない人間だっつの。
ナナプラザというゴーゴーが連なる、パッポンと並ぶナイトスポットの超有名店レインボーへ。あの雰囲気、相変わらず、すごい。圧倒。ヨシが暴走する。つか札幌人ほんとみんなどうしようもない。いや先輩ですが。
ゴーゴーで女の子におごらない程度に遊び、早めに出る。そしてそのまま援交カフェと噂のテイメイカフェへ。お酒を頼み、適当に一周する。かわいい子意外と多い。適当にJAという女の子をいじって遊んでいると、とんとんと肩を叩かれる。振り向くと、ヨシがふたりの子の肩を抱き、衝撃発言。


「じゃ俺、この子達と3Pしてくるから」


そう言い残し去っていく、ヨシ。アウェーな場所にひとり残された俺。どうする、どうするの俺!?