導入

garuboru2006-05-19

mixiの文章が蓮實っぽいって言われたので、もうあっちはポップでいきます。で、こっちはレビューと重い感じのやつで。映画、本、音楽などについて書きます。ブログはあの御方のサイトデザインをパクリ。

★★★★★=永遠のマスターピース
★★★★=必見・必読・必聴
★★★=ふれるべし、ふれなければ損
★★=佳作
★=それ以下
●=評価が難しい作品、意欲作・実験作ながら評価できるとは言い難い作品。

基本的に誉めて育てる主義の俺ですが、★なども平気でつけるつもりです。これは例え友人の作った学生映画についても同じ評価基準でやるので、評価が怖いならば上映会の後は見ない方がいいかも。




早速。

映画

a)わるい仲間(ジャン・ユスターシュ)★★

b)サンタクロースの眼は青い(ジャン・ユスターシュ)★★

c)恐るべき子供たちジャン・ピエール・メルヴィル)★★★


音楽

d)Moon Risin'(JUN)★★★

e)100s中村一義)★★★★


f)異邦人(アルベール・カミュ)★★★★★



c)『大人は判ってくれない』と同じテーマでそれ以上の映画があるとしたらこれではないだろうか。もちろん映画の中で、いわゆる子供を理解しない存在としての大人は存在しない。ではその対比をメルヴィルはどこになげかけているのだろうか。『恐るべき親たち』を観たあなたならば、それに対する返答であるという考えも出来るが、もっと簡単な構図をメルヴィルは描ききっているのである。
スクリーン上で起こっている出来事をあなたは素直に受け入れられたであろうか。姉や弟を中心とした子供たちの行動は我々には理解しがたいものである。そう我々はこの映画を既に大人という視点から観ているのである。そこにメルヴィルの画期的な映画手法が存在しているのであり、例えば姉と弟の、直接は描かれないが、近親相姦的な思いをあなた方は読みとっただろう。そしてそれは禁じられた行為であるという思いを頭に描いたであろう。その考え方自体が既に、大人の視点であり、当人たちにとってはそれが禁じられた行為であるということにすら気付いていないのである。
最後に姉は弟を失いかけることにより、ようやく自分の過ちに気付き、大人へとなっていくのだ。彼女にとって大人になることは、すなわち弟を失うことを認識することであり、それは同時に死を意味するのである。彼女が倒れるラストシーン、それまで子供だった彼女が、まるで別人のように見えたのは決して偶然ではないだろう。



f)今更説明する必要もなく全ての若者が読むべき本であり、読んでいるだろう本。
今回はマグレブポストコロニアル的視点に立って読了。マグレブとはアルジェリア、モロッコチュニジアのフランス植民地となった3国を指す。複数文化が存在する代表的な地域である。カミュはアルジェ生まれの、フランス人入植者である。彼はノーベル賞を得たときの講演で、若い頃を「貧困と太陽に満ちた少年時代だった」と振り返る。ぼくらはこの本の表面上だけをすくって読んでも非常に楽しめるが、ポストコロニアルを学べば、これがカミュ自身の自伝であると言うことに気付くのである。